葬式ごっこ事件とは1986年東京都中野区の富士見中学で起きたいじめによる自殺事件です。
いじめによる自殺事件は当時大きな社会問題となりました。
まだ中学生の少年がなぜ自殺する事になってしまったのか詳しく見ていきましょう。
葬式ごっこ事件の概要!現場の場所やいつ起きたのかも確認
葬式ごっこ事件とはどんな時間だったのか、こちらで事件の現場や概要、当時の様子などをまとめてみました。
葬式ごっこ事件はいつ起きた?時代背景なども確認
1986年といえばダイアナ妃来日フィーバー、チェルノブイリ原発事故、ハレー彗星大接近、ビートたけしによるフライデー襲撃事件、自動車のシートベルトが義務化されたのもこの年でした。
現在も度々話題にあがるチェルノブイリ原発事故は今から36年前、この事件の頃だったのですね。
葬式ごっこ事件現場はどこ?場所や住所も確認
被害少年の父親の実家である岩手県盛岡市のJR盛岡駅前にあるショッピングセンター内(住所:岩手県盛岡市盛岡駅前通1-44)地下1階のトイレの中で首つり自殺したのが事件現場です。
このショッピングセンターは「フェザン」という名称で本館と南館があり、この少年が見つかったのは本館の地下のようです。
葬式ごっこ事件の概要!その事件内容とは
1986年(昭和61年)東京都中野区中野富士見中学校に通う中学2年生の被害少年はいじめを苦に父親の実家である岩手県盛岡市のショッピングモールの地下一階のトイレで首吊り自殺をしました。
発見者はこのショッピングモールの警備員でした。
ちなみに中野富士見中学は東京都中野区にある公立中学校で2009年4月に周辺の中学校と統合され名称が中野区立南中野中学校と変更されました。
現在はその中学校も取り壊され跡地に南部すこやか福祉センターという施設が建っています。
【事件まで】
少年は小柄でおとなしい性格もあり、同級生らに買い食いのパンやお菓子、ジュースなどを買いに行かされる、荷物持ちをさせられる、いわゆる「パシリ」をさせられるようになっていました。
担任はその状況を知って被害者の父親にパシリをさせられているようだと状況を伝えています。
いじめは徐々に暴力などに発展していき、少年は日常的に暴力を受けるようになりました。
このいじめ暴行の具体的な内容は
- プロレスの技をかけられ投げられる
- 顔にペンで落書きをされ廊下で踊るよう命じられる
- モデルガンの的にされる
-
野球拳をして勝ち負け関係なく服を脱がされる
そこで起きたのが被害少年の「葬式ごっこ」です。
今上げたいじめの内容はいじめなのか、学生同士仲良しでふざけあっているのか紙一重ではありますが、この後の葬式ごっこは明らかにいじめでありモラルに反した行動といえます。
【葬式ごっこ】
いじめのエスカレートにより被害少年の葬式ごっこが行われました。
被害少年が死んだ事にしようと言い出した生徒がいたのです。
更に亡くなった(事にした)少年へのお別れのメッセージを色紙に寄せ書きまでしたのですが、内容は誹謗中傷のものが多く酷いとしか言いようのないものでした。
驚く事にこの寄せ書きには教師4人も参加して書いていたのです。
少年はこの日足を怪我していたので治療の為病院に寄ってから学校に遅刻してきました。
教室に入ってすぐに「なんだこれ」と笑っていましたが、その後黙り込んでいました。
子供って時に非情ですね。
葬式ごっこをするという発想も酷いですが、グループでそれをやってしまうのが怖いですね。誰かがやめようと断らなかったのでしょうか?
悪ノリといえど酷すぎます。
そして教師4人も寄せ書きを一緒になって書いているのが理解できません。
【担任や教師】
こういったいじめが起きた時に助けとなるのが担任の先生ですが、問題はこの担任もまた葬式ごっこのお別れの色紙を一緒になって書いていたことです。
この学校では他の教師も少年がいじめやリンチにあっている事を目撃していますが、いじめグループに注意すると少年も加害者も否定したという事でそのままになっていたようです。
担任は定年前のベテラン教師でした。
以前生徒を注意して暴力を振られ骨折のケガをした経験から、あまり生徒に注意をしなくなったそうです。
本当にドッキリだとしても葬式ごっこなんてダメだと注意して欲しかったですね。
少年は葬式ごっこの後、徐々に学校に来ない日増えたそうですが、担任はさほど気にとめていなかったそうです。
その教師は少年の母親と連絡を取り担任も同席し話し合いをしました。
その中で転校の話も出ましたが、少年が同意しなかったそうです。
もうこの学校でも転校先でも学校が嫌になってどちらも行かないと考えたのでしょうか。
転校先でもいじめられたら同じだと考えたのでしょうか。こういう時どうしたら助けてあげられるのでしょうか。今の時代ならオンライン授業で学校に行かなくても良い方法もありますよね。
でも被害少年がどうにかするのではなく加害者が転校するなり自宅待機にするなり責任を取って欲しいものです。
【亡くなった当日】
1月31日少年はいつものように家を出たまま行方不明になりました。
父親は少年が行きそうな池袋や新宿を必死に探しましたが見つかりませんでした。
ショッピングモールが21時閉店した後、地下トイレの個室が1つだけが閉まったままだったので不審に思った警備員が中を確認したところ少年が息絶えていたそうです。
足元には遺書がありました。
その時の所持品の中にサンシャイン60の入場券が入っていたそうです。
岩手に行く前に池袋に寄ったと思われます。
恐らくこの当時サンシャイン60は相当高いビルで有名だったと思われるので飛び降りも考えていたのでしょうか?それとも最後に楽しい思い出があった場所に行きたかったのでしょうか?今となっては分かりません。
【自殺後の学校】
担任は自分の保身の為に、そのクラスの生徒にいじめの事実を口止めしました。
教育委員会にも報告もしていません。
ただこのままでは済みませんでした。
この担任は公務員なのに塾でアルバイトをしていた事が発覚し免職となりました。
精神的にも未熟な中学生ですから、この中学校の生徒は精神的に不安定になりました。
教師が喧嘩を持ちかけた生徒ではなく、喧嘩を持ちかけられた生徒を注意した為、注意された生徒は不満と怒りで「先生ひどいよ」「あいつを殺して俺も死ぬ。包丁買ってくる」とその場を飛び出し、金物屋の前で生徒と先生が言い争うというひと騒動がありました。
この騒動でもわかるように、すぐに死ぬや殺すなどの言葉を中学生がすぐ口にしている事に違和感を覚えます。当時はスクールカウンセラーが常駐する時代ではないので心のケアはどうなっていたのでしょうか。
葬式ごっこ事件の犯人は誰?加害者の現在や事件の動機とは
いったいこんな酷い事件を起こしたいじめグループや葬式ごっこをやろうと言い出したのはどんな人物なのか気になるところです。犯人について見ていきましょう。
犯人は誰?加害者の実名や顔とは
普段からいじめをしていたグループは10人程度いて、葬式ごっこはクラス全員と担任で行いました。
少年法に守られている事もあり、インターネットが普及していない時代もあり、加害者の名前や顔は検索しても出てきません。
一方被害者の名前や顔写真はすぐに出てきてしまうのは不公平ですね。
犯人の動機は何だったのか?
加害者となった元担任教師が2020年取材により何故葬式ごっこをやったのか聞かれたところ、生徒に依頼されて何となく深い意味なくやったと答えています。
他のクラスメイトも特別な意図なく何となくやったのでしょうか。
これは一つ集団心理というものがあるのかもしれません。
人は集団になると非情な事に鈍感になり、罪悪感が薄れ、個人ならやらないような事を
今回の件もこの集団心理が働いたのではないでしょうか?
動機なくやった事が人を死に追いやるのですからとても怖い事です。
犯人に下された判決
・1986年4月 いじめに関わった16人と傷害、暴行容疑で書類送検。
・1986年6月 遺族は遺書に名指しのあったいじめ①加害者2人とその両親②東京都③中野区に対し損害賠償請求を起こました。
・1986年9月 名指しされた加害者2人の生徒に保護観察処分が下されました。
<保護観察処分とは>
ただし、素行不良などがあれば少年院に逆送されることもあります。
要は問題なく生活ができていれば家に帰れて普通の生活ができます。
・1991年3月 東京裁判所は、葬式ごっこはいじめと認めないが自殺直前に行われた暴行が自殺となったといじめを否定した。
・1994年5月 被告らに1150万円の賠償命令を下しました。
葬式ごっこによる精神的苦痛に対するもので、いじめと自殺の因果関係については認められませんでした。
加害者は現在は何してる?
加害者は特別な罪にも問われていないので現在普通の生活をしていると思われますがどこで何をしているのでしょうか?
詳細な情報は出てきませんが、葬式ごっこに参加した元同級生が2021年5月29日放送のNHKのドキュメンタリー番組「ストーリーズ事件の涙」で葬式ごっこ事件を特集した際、顔出しで当時の事を語っています。
詳細をご覧になりたい方
葬式ごっこ事件の被害者は誰?現在の遺族やその後とは
この被害者少年や遺族の方の事について見ていきましょう。
被害者は誰?実名や顔とは
被害者の少年は1972年3月10日生まれの鹿川裕史君です。
加害者の名前や顔が出ないのに鹿川裕史君の名前と顔はすぐに出てきます。
行方不明者や誘拐事件であれば被害者の名前や顔の公開は必要な場合がありますが、特に未成年の自殺や殺害された方の情報は控えて良いのではないのかと、これだけ加害者の情報が未成年だからと出てこないと考えさせられます。
被害者の遺族の現在やその後とは?
事件後父親の鹿川雅弘さんは少年育成連合会副理事長をされて、全国でいじめ撲滅運動を行っています。
いじめで悩んでいる方へ相談やアドバイス、いじめが無くなる社会の為の活動をされています。
葬式ごっこ事件によりその後変わったことは?
この事件をきっかけにいじめによる自殺がクローズアップされ大きな社会問題となりました。
しかし2021年の統計調査でいじめによる自殺は過去最多となり増加傾向にあります。
コロナ禍で学校に行かない状況もあり一時いじめは減少しましたが、児童生徒の不登校や自殺者は昨年過去最多なのです。
技術が進んでもいじめや自殺者を減らす事無くす事は難しいのですね。
いじめは加害者の家庭環境に問題がある場合も多いそうなので、いじめを無くすにはまずは家庭環境が大事なのかもしれません。
コメント
NHKの番組で重い口語ってくれたのは良いけど、自分の家庭をきずいて幸せを語った奴に対して思うけど、自分のしたことを家族知れたらやましいの?子供には関係ない事だと思うよ。逆に言うと、子供にしたら、最低最悪な親て感じると思う。子供自身は自分は関係ないて思うよ。