歌舞伎町ビル火災事件とは新宿歌舞伎町の雑居ビルで起きた戦後5番目に被害者の多かった火災事件です。
ビルの消防設備に問題があり被害者が多く出た事で大変問題となりました。
歌舞伎町ビル火災事件の概要!現場の場所やいつ起きたのかも確認
この火災事件ではビルの消火設備が使えず、44人の死者を出す悲劇が起きてしまいました。どんな事件だったのか事件概要を見ていきましょう。
事件はいつ起きた?時代背景なども確認
事件は2001年(平成13年)に起きました。
歌舞伎町火災の10日後にアメリカ同時多発テロがあり、メディアの話題は全てそちらに移ってしまいました。
9.11のインパクトが強くて歌舞伎町火災があった事が記憶に残っていない方も多いようです。
事件現場はどこ?場所や住所も確認
火災が起きたビルは東京都新宿区歌舞伎町1-18-4明星56ビルです。
火災事件後2006年5月にはビルは取り壊され、現在はビルではなく路面店の韓国料理店になっています。この店は火災のあったビルとは何の関係もないようです。
歌舞伎町ビル火災事件の概要!事件当時の状況とは
それでは事件の詳細を見ていきましょう。
火災発生
2001年9月1日午前1時頃、日本一の歓楽街で有名な新宿歌舞伎町の雑居ビル(地下2階、地上4階建て)で火災が発生しました。
皮肉にも防災の日である9月1日の火災でした。
ビルのテナント
このビル内のテナントは下記の通りです
4階 キャバクラ「スーパールーズ」」(無許可での営業)
3階 ゲーム麻雀「一休」
2階 セクハラクリニック「ナースイメクラ」
1階 ナイタイギャラリー
地下1階 カジノパラダイスクイーン
地下2階 飲食店ニュークラブレイン
出火原因
このビルの3階、麻雀「一休」のエレベーターホール付近の天井タイルが剥がれ落ちていることからここが火元とみられます。ガソリンや薬品を撒かれた形跡も無くタバコの火の不始末か、何かしらの方法で放火した可能性が高いと考えられました。
また、3階の火元にあるガスメーターとガス管が外れていたので、誰かが意図的に外したのが原因かとも言われています。
この時消防車やポンプ車約100台が火災現場へかけつけました。
被害者
被害に遭った方は3階の麻雀店にいた19人、4階のキャバクラにいた28人の合計47人で、その内44人が死亡し3人が負傷しました。
負傷した3人は店の従業員で、3人とも3階から飛び降りて脱出した際に負傷しています。
客の避難誘導をせず逃げたと、従業員達に批判的な声もありましたが、火事を通報したのは初めに飛び降りた人物でした。
結果的には44人死亡し、死因は全員一酸化炭素中毒死でした。
一酸化炭素中毒は吸い込んだ濃度で致死量が割り出されていますが、濃度1.28%吸い込むと1〜3分で死亡すると言われています。
当時火災現場周辺で火事を目撃していた人のテレビインタビューを見ると、少し離れた場所でも煙で目が痛かったと言っていますので中に取り残された方の状況は酷かったでしょう。
ビルの装備不備
このビルの火災設備にはいくつも問題がありその不備が事態を悪化させる事となりました。
・火災報知器が鳴らない
→このビルの火災報知器は誤作動でベルが鳴る事が多く、うるさいのでいつも電源から切られていた。
・感知器が作動しない
→煙を察知する感知器が2重天井で使えない状態に覆われていた。
・避難用器具を備えていない
→避難器具がある階と無い階があたり、あっても使えない状態だった。
・非常時の脱出窓が使えない
→非常時に出入りする窓はあったがその窓にポスターが貼られ使えなかった。
・又貸しによりビル所有者は知らず
→このビル所有者は競売にかけられたビルを1998年1月に買い、死者を出した3階と4階はビルのオーナーと賃貸契約を結んだ契約者が更に店の経営者に又貸しをしていた為、消防設備の不備や消防点検で注意警告を受けていた事をビルオーナーが知らなかった。
・避難経路不備
→火災時に避難経路となる階段には日常的にロッカーや段ボールなどの荷物が置かれており、経路が十分に確保されておらず、引火しやすいものが置きっぱなしになっていた。
・防火扉閉まらず
→避難経路である階段などに荷物が沢山置いてあった為防火扉が閉まらなかった。
このビルの階段を再現
当時の歌舞伎町火災事件のNHK特番で非常階段の様子が再現されていました。
歌舞伎町の雑居ビルといえば、そのような状態が多いので、他のビルで同様の火災があってもおかしくないというのが良く分かります。
火事になって逃げ道がなければそれはパニックになりますよね。
ビルには火災報知器はもちろん防火扉やスプリンクラーが当たり前に作動すると思っていますが、これだけ火災時に何も使えないとは考えただけでも恐ろしいです。
歌舞伎町ビル火災事件の犯人は誰?事件の闇や4人目の生存者とは
放火の可能性が高いこの事件は現在まで犯人が捕まっていません。
犯人について見ていきたいと思います。
なぜ未解決なのか?その理由や原因とは
放火犯なのか事故なのか分からず現在までこの事件は未解決となっています。
かけつけた消防隊員は3階でガスのにおいがしたと言っています。3階エレベーターホール付近の火元にあるガスメーターとガス管が外れ、ガスメーターが下に落ちていた事が分かっていますがこのガスメーターを外すには専用の工具を使い専門の方でも2分程度はかかる為、簡単には外せないそうです。
一説には歌舞伎町界隈でガスの窃盗が横行しておりガス管とメーターを外しておくビルが複数あったそうなので、日常的に簡単に外せるようにしてあった可能性はあります。
階段に置かれた大量のゴミ袋にタバコの吸い殻もあったので何らかの出火原因により引火し燃え広がりガス管とメーターを繋ぐものが緩んでガスが漏れ、引火した事故の可能性もありますが現在まで出火原因は特定されていません。
事件後火災の原因特定の為、再現検証されましたが火災の原因特定には至りませんでした。
火災にみせかけた放火なのかタバコから引火した事故だったのでしょうか。
犯人象や有力な説とは?中国人説なども浮上した理由
出火原因は不明ですが、放火だとしたら誰が犯人なのか、犯人説は様々噂されています。
愉快犯説
事件は日本一の繁華街歌舞伎町の週末である金曜から土曜にかけての午前1時頃です。
ここでなにか大きな事をしてやろうとビルに火をつけた愉快犯による説があります。
確かにそういう悪い考えを持つ人物が犯人の可能性は十分にありそうです。
麻雀店の負けた中国人客説
3階の麻雀店は違法賭博の店でした。
賭けに負けた客はエレベーターを蹴って帰ったり、店員に暴言をはく人がいたりで客層が良くなかったそうです。
この火事も賭けに負けた客が腹いせに火をつけたのでは?というもので、それが中国人だという話があります。警察も犯人が中国人という噂から中国人を片っ端から捜査したようですが見つかりませんでした。中国に逃げた可能性もありそうですが、日本人でも中国人でも犯罪者の海外逃亡は常套手段ですから警察もそこは見逃さないでしょう。
4階の客説
4階のセクシーキャバクラの客が犯人という説があります。従業員の女の子にストーカーまがいの客もいたというもので、自分のものにならない事で火をつけたのでは?という話があります。ストーカー化した人物が思わぬ事件を起こす事は十分にあり得るでしょう。
再開発説
歌舞伎町は風俗店や違法賭博の店などが多かった為、再開発を進めてクリーンな街を目指す中、そのような違法店に火事を起こして無理矢理立ち退かせた説があります。
火事まで起こして再開発を進める事ってあるのでしょうか。あり得るなら怖い話です。
縄張り争い説
歌舞伎町という場所で、このビルの3階の違法賭博や4階の風俗店はヤクザがバックにいないと営業できないと言われています。その縄張り争いでのトラブルから火を放たれたという説があります。
現実的な説だと思いますが真相はどうなのでしょうか。
事件の闇や謎の深まるポイントとは
この事件の謎は火事の原因が特定できていないという事です。
火事が意図的なのかそうじゃないのかによっては、ビル装備不備等の事故かもしれないですし、防火の犯人がいたとするなら、ガス管とメーターが外れたガス漏れ状態のところに火を放つとは自殺行為です。
死んでも良いからやる自爆テロ的な可能性もありますが、犯人の意図も火災の原因も分からず知れば知るほど謎の多い事件です。
4人目の生存者とは誰?
従業員3人の他、もう1人火災のビルから逃げた人がいたという目撃証言があります。
爆撃にあったかのようなヘアスタイルで全身血だらけの男性が火災現場近くから足を引きずって歩いていたそうです。警察は目撃情報から男性を捜索し、周辺の病院にもそのような男が受診していないか聞き込みをしましたが見つかりませんでした。
歌舞伎町から全身血だらけの人が歩いていたら相当な目撃情報がありそうですが見つからないものですね。
その男が火災現場にいた人物だとして従業員ならすぐ特定できると思われますので従業員以外で、その血だらけの男が犯人の可能性はありそうです。
歌舞伎町ビル火災事件の犠牲者は誰?現在の遺族やその後とは
では犠牲となった方や遺族の方々について確認していきましょう
犠牲者は何名?どんな人たちが犠牲になったのか
犠牲者は死者44名で、内訳は男性32人女性12人です。
4階の風俗店は客と従業員全員が死亡し、3階で亡くなったのは全て客でした。
4階の風俗店については、ここで犠牲になった従業員の女性の親御さんが、亡くなった事聞かされてから学費の為に風俗店で働いていた事を知った方もいるそうです。
風俗店で家族が亡くなるというのは複雑な気持ちでしょうね。
被害者の遺族の現在やその後とは?
事件後の遺族の方の様子は度々報道されています。
その一部をご紹介致します。
・今年(2022年9月1日)も現場を訪れ献花したという方は事件後毎年訪れている。
ここに来ると(亡くなった方と)会えている気がする。
・普通の勉学以外にも社会勉強しろと息子さんに言った後、その息子さんがあの火事で亡くなったのを聞かされ立ち直れない。
・母娘2人暮らしだったのがあの火事で母親が亡くなり、残されたお子さんが親戚の家で引き取られた。
・亡くなった方の携帯が鳴るかもしれないと遺品の携帯を肌身離さず持っている。
火災に巻き込まれた方も悲劇ですが、残された遺族の方も悲劇だという事がよく分かります。
その後変わったことは?
ビルは使用禁止となり、ビルオーナーらは遺族に10億以上の和解金を支払いました。
そして2008年7月2日ビルのオーナーら5名は執行付き有罪となりました。
更に火災を期に2002年10月25日に消防法が大きく改正されました。
改正された内容
・火災報知器等の設備強化で火災の早期発見
・検査徹底で違反を厳しく是正
・違反の際の罰則金の強化
・有資格試験による点検報告義務
防火設備が使えないのをそのままにできない厳しいシステムは必要ですよね。
最後に消防士の方が火事の際の行動を解説していたのでご紹介致します。
火事の際の行動ポイント
火災で亡くなる方の半数以上は焼け死ぬのではなく一酸化炭素中毒で命を落とすと言われています。
有害な煙をもろに吸わないよう低い態勢が鉄則らしいので覚えておきましょう。
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